グルーヴとは結局何なのか?
明確な定義はないようですが、グルーヴとは、音楽で「ノリ」のことを呼ぶそうです。例えば、エレキギターでドラムに合わせてストロークしていくと、自然とノってくると思います。その時に出てくる自分独自のリズム感がグルーヴとなります。
注意点として、正しいリズムで演奏されたものが必ずしもグルーヴにつながるとは限らないことです。例えば太鼓の達人というゲームがありますが、音符があり、それを正しいリズムで叩くと良、ズレると可や不可の判定が付きます。これは予め設定された正しいリズムにプレイヤーが合わせていくというゲームになりますが、グルーヴとはこういったものではありません。メトロノームに合わせて演奏するだけではなかなかグルーヴは身に付きません。
まず大前提としてリズムキープをしながらノリを感じていくことが大事です。感覚としてあるノリを演奏で出していくことで「グルーヴ感」は出てきます。それぞれノリ方は様々です。時にはタメることもありますし、少しだけ走ることもあります。気持ちよく出した音がジャストの時もあります。
正しい音符で演奏するのか、自分の内側から出るノリで演奏するのかの違いとなります。バークリー音楽大学准教授のトモ藤田さん(ギタリスト)が出した「ギター・マガジン 耳と感性でギターが弾ける本」という本がありますが、私はこれを愛読させて頂いておりますが、この本の中で、「とにかくまずは自分が乗ること、さらに裏拍を大事にすること」が書かれています。
グルーヴが何かわからない方はまずは曲を流しながらそのリズムに合わせながら適当に踊ってみるとよいです。ずっと踊っていると、だんだんと、乗ってきて、オリジナルのグルーヴ感が出てくるようになります。
日本の大衆音楽は、フォークソングや歌謡曲が主体であると思います。比較的ゆったりしたテンポで、コードとメロディのハーモニーを楽しんだり、日本語の歌詞の良さをかみしめたりなど。椅子に座ってじっくり聞くという文化です。最近はDEMも増えてきましたが、やはり、アメリカとは音楽文化に違いがあります。アメリカはダンスミュージックが主体で、体を動かして、ダンスして、乗ることが前提にあります。そういった環境ですと、自然とリズム感は身についていくものです。
日本人は音楽を聞きながら踊る(ダンス)という経験が不足しているので、なかなかグルーヴを理解するのは難しいのかもしれません(そもそもそういった文化なので、高度なグルーブ感がJ-POPで必要なのかどうかもわかりませんが)。
グルーヴ感を出すトレーニング方法
グルーヴの出し方ですが、まずは前提としてリズムキープが出来ている必要があります。この土台ができていないと、16ビートとか、裏拍とか、そういった細かいリズムが曖昧になってしまうので。
練習方法ですが、メトロノームを用意して(スマホのメトロノームアプリでも構いません)、テンポは自由に設定して(80〜140くらい)、4分音符に設定して、メトロノーム音を鳴らし続けて、それに口に出して「タ、タ、タ、タ」と合わせていきます。この時に足踏みしたり、体全体でリズムをとっていくようにします。大体1日10分くらい毎日やればリズム感はよくなっていきます。地味なトレーニングですが、かなり効果があります。ある程度表拍が取れるようになったら次は裏拍をとっていきます。
とにかく裏拍が重要です。裏拍を取れるようになると、リズムが崩れなくなるので、ノリが出てきて、独自のビートを刻めるようになります。演奏や歌や、ダンスもそうかもしれませんが、裏拍が取れている人とそうでない人とでは一目見て(聞いて)違いがわかるくらい、違ってきます。
練習方法は同じで、テンポは自由に設定して、次は8分音符に設定して、「タタ、タタ、タタ、タタ、」と表拍と裏拍を口に出して合わせていきます。体全体でのノリも忘れずに行います。
裏拍もとれるようになったら、あとは自分がノリがいいなと思う曲をスピーカーで流して、それに合わせて体を動かして踊ってみましょう。ただリズムに合わせるのではなく自分自身でノッていくことが大事です。この練習を継続して行うと、グルーヴ感が出てきます。
これらの練習をすると、例えばギターを弾くと、ノリが出るようになったり、歌ですと自然とリズム感が出たり、キーボード、ドラム、ベースなど、今まで練習してきたノリが自然と演奏で出てくるようになります。
演奏で最終的に差が出るのはリズム感(グルーヴ感)
例えば歌でしたら、リズムだけでなく音程という要素も必要になります。ピッチのコントロールは生まれつきの部分もあり、それで上手なケースとそうでないケースが出てきます。
一方、ピアノ、キーボード、アコースティックギター、エレキギター、ベースなどは、鍵盤やフレットを押さえたら誰でも正確な音程を出すことができます。曲の難易度によって弾ける曲と弾けない曲が出てくるのはあるかもしれませんが、練習すればピッチの面で苦労することは、当然ですが、ありません。
POPSの演奏で最終的に差が出るのがリズム感になります。エレキギターでも、白玉で伸ばす所は伸ばす、ミュートさせる所はさせる、16ビートで軽快に弾くときはノリを出すなど、メリハリをつけて、リズムを刻んでいれば上手に聞こえます。根底にあるリズム感を視聴者は自然と感じ取るので。
8ビートでリズムをとる人と16ビートでリズムをとる人がいる
私は人それぞれリズムに特徴があるのではないかと思っています。大まかに分けると「8ビートでリズムをとる人」と「16ビートでリズムをとる人」がいるように思います。
8ビートでリズムをとる人はザックリとしたリズムの取り方をします。練習をすれば16ビートも刻めますが、そんな細かくリズムをとるのは得意ではなく、作曲で鼻歌をしたときでも、わかりやすいメロディを出すことが多いです。
16ビートの方は細かくリズムをとるのが得意で、練習すれば32分音符までとれるようになります。3連符やシャッフルなど複雑なリズムにも対応しやすい人です。これはカラオケを歌ってみると自分がどっちのタイプなのかわかるようになります。
個性的なグルーヴについて
リズムの構成(リズムパターン)を作っていく時に、シンコペーションもしくは休符が入ると難易度は上がります。
4分の4拍子の曲の場合、1拍目が強拍、2拍目が弱拍、3拍目が中拍、4拍目が弱拍となります。「強弱中弱」ですね。これは単純にアクセントが付くという意味ではありません。心理的なリズムの重点をどこに置くかという意味となります。リズムをとる時は、基本は表拍を頼りにして無意識にリズムをキープします。もっと具体的に言うと、1拍目、小節の入りが最も意識されて、次に3拍目も意識されます。リズムをとるときの拠り所となるのです。
「シンコペーションや休符」を取り入れることでリズムの取り方が変化します。シンコペーションは裏拍から音を鳴らして表拍をタイで結ぶ(ロングトーン)ということになります。この場合リズムの重点は裏拍になります。
例えば3拍目の表拍に休符を入れると、リズムの拠り所が次の拍移動するため、そこに意外性が出て、面白いリズムとなります。