音楽のハーモニーとは?

ハーモニーについて

ハーモニーとは、2つ以上の音が同時に発生した時の響き方です。コード(和音)自体もハーモニーですし、弾き語りのような、コードとメロディが同時に鳴っているのも、ハーモニーになります。メロディは時間軸と共に動きますから、その瞬間瞬間で様々な響きが生まれます。

 

バンド編成ですと、さらに響きは複雑になります。メロディに加えて、ベースも、ベースラインが動く場合、ハーモニーが生まれることがあります。サビでリフも加われば、コードと主旋律とリフ、3つの要素が同時に鳴ることになります。ハモることもハーモニーです。

 

ちなみにですが、ハーモニーはあくまで音程を発する楽器でのみ該当します。例えば、キック、スネア、ハイハット、シェイカー、ハンドクラップ(手拍子)などのリズムパートを担う楽器は、音程を発さないので、これらはハーモニーには該当しません。このようにハーモニーはとても身近なもので、広くて奥深いものです。今回はそのハーモニーに対して、POPSを軸にして、3つに分けて(3つを軸に)掘り下げて解説していこうと思います。

 

@和音(コード)の簡単なまとめ

POPSではアカペラやベースとボーカルだけというパートもあるのですが、多くがコードとメロディとなっています。コードを知ることがハーモニーを理解する上で重要になります。メジャースケールでは、T,Um,Vm,W,X,Ym,Zm(♭5),というダイアニックコードで多くは三和音が使われます。

 

協和するコードは〇(メジャーコード)と〇m(マイナーコード)と〇aug(オーギュメント)の3つだけで、それ以外のコードには不協和音が含まれます。sus4(サスフォー)には長2度、〇7(セブンス)には減5度、〇M7(メジャーセブンス)には長7度、〇m7(マイナーセブンス)には短7度、dim(ディミニッシュ)には減5度が2つ、それぞれ不協和音が含まれています。

 

テンションを加えると、それだけで緊張感のある音になります。和音(コード)だけでもこれだけの多彩な響きが存在するのです。もし鍵盤が手元にあるなら(アプリの鍵盤などもあります)自分で弾いてみて響きを確認してみるとよいです。

 

コードとハーモニー

 

協和関係ですが、簡単にまとめると以下の通りとなります。

 

協和音

 

普段使っているものなので殴り書きで申し訳ありません。0〜12の数は半音何個分の距離かを示しています。最も協和するのが完全1度と完全8度です。これらを絶対協和音程と呼びます。ユニゾンやオクターブが一致した響きになるのはわかると思います。

 

次に協和するのが、完全4度と完全5度です。簡単な比率で振動するので、協和した響きを生みます。

 

次に協和するのが3度と6度です。これらは不完全協和音程と呼びます。いい具合で協和するのでハモリとして重宝される音程ですね。

 

それ以外の音は不協和音となります。上の図で説明すると、◎が協和音程、〇が次に協和するハモリで使われる音程、△不協和音、×は短2度がアボイドノート、減5度がトライトーンとなります。

 

アボイドノートは機能和音(楽曲中のコードの進行と機能)を奪ってしまう音です。短い音なら気になりませんが、長い音で鳴らしてしまうと、コードの構成音に対して半音でぶつかるため、楽曲の骨組み(和音)が壊れてしまうのです。

 

トライトーンは減5度で鳴る音程で、緊張感のある音になります。Tへの回帰を期待させるような音で、主にV7で使われる音程ですね。コードとメロディとの関係でも稀に生まれることがあります。そんなに注意深くチェックする必要はありませんが、長い音でのトライトーンが気になる場合は回避するとよいです。

 

Aコードとメロディの関係について

コードに対してメロディがどの位置にあるのかによって、ハーモニーが変わってきます。コードトーンに収まっている時にはハーモニーは発生しませんが(コードの構成音だけが鳴ることになるため)、メロディは時間軸と共に動きますから、ノンコードトーンに位置する瞬間には様々な響きが生まれます。

 

例えば、アボイドノートになったり、四和音になったり、6thになったり、テンションになったりするのです。それらの関係を整理するにはコードスケールという概念を学ぶとよいです。コードスケールとは、ダイアトニックコードの各コードを基準にした音の並びのことを言います。

 

コードスケールは以下の通りとなります。これらはダイアトニックコードでのハーモニーの関係になります。例えばコードをsus4にしたりaugにしたりすると、勿論、アボイドノートはコード構成音の半音上(短2度)の音ですから、位置関係はまた変わってきます。

 

コードスケール

 

Cメジャーキーを具体例に示しています。例えば、Cコードの場合、コードトーンはCEGBとなります。もしもメロディがDの位置にあった場合、テンションの響きとなります。もしもAの位置にいた場合は6thの響きとなります。

 

6thコードについてですが、これはこれはトライアド(三和音)にメジャー・コード、マイナー・コード関係なく、長6度の音程を足した四和音になります。

 

6thの特殊な点は、例えばCコード(CEG)にAを加えたら、6thの四和音となりますが、CM7コード(CEGB)にAを加えたら、テンションコードに変わることです。7thの音の有無によって、6thになったりテンションになったりするのです。その点は注意が必要です。例えばCコードでAをテンションの音にしたい場合は、CM7コード(CEGB)にする必要があります。

 

もしもFの位置にいた場合、コードトーンEの半音上(短2度)になるので、アボイドノートになります。このように、コードに対してメロディがどの位置にいるかでどのような響きの音になるのか、このコードスケールをみればわかります。わかりやすくCメジャーキーで書いていますが、当然他のキーでも同じことが言えます。

 

コードとメロディでハーモニーを作る方法

コードとメロディでハーモニーを作る方法ですが、意図してハーモニーを作りたい場合は上記で説明したコードスケールを理解できればあとは作業していくだけです。響きを確認しながらコードとメロディとの?み合わせを試行錯誤しながら作っていくのです。コードトーンに収まって安定しているときもあれば、ノンコードトーンに位置して、それが、四和音になっていたり、テンションになっていたり、6thになっていたりするときもあります。

 

ただ、あまりにも緻密にハーモニーを作っていく、というのは、膨大な時間が必要になります。POPSではコードとメロディに加えて、ベースラインが加わったり、ハモりが加わったり、リフや裏メロが加わったりするわけです。それらすべてを一つ一つチェックしてハーモニーを作っていくというのは、大変な作業です。

 

綺麗なハーモニーが作れたからといって必ずヒット曲が生まれるわけではありません。聞かれ続ける曲はメロディ自体がよかったり、コード進行がよかったり、リフがよかったり、それぞれ単体の力が大きいのです。ハーモニーは付加価値的なものです。皆さんハーモニーが美しいからこの曲がお気に入り、といったケースはあるでしょうか?それよりもメロディがいいからとかコード進行がいいからとかそっちの要素の方が選ぶ基準になっているのではないでしょうか?

 

多大な時間を割いて、針に糸を通すような緻密な設計をしていくのは、骨が折れる作業です。玄人志向の方はハーモニーまで頭に入れて作曲すればよいのですが、多くのケースでは、スケール内の音を使って、コード進行を考えて、ハモリを考えて、後はロングトーンのアボイドノートだけを気にしながら作曲していけばよいかと思います。耳で聞きながらいいという音を組み合わせていって、結果的にハーモニーが生まれていた、という最低限の音楽理論と残りは直感での作曲方法の方がうまくいきやすいのかもしれません。

 

Bハモリと対位法について

ハモりは作曲する上で超重要な作業となります。 歌にハモりを入れることで、ハーモニーが生まれますし、メロディが太く響きのある音になります。

 

突然飛躍した話になるのですが、ヒットメロディを作るのは大変難しいことです。例えば50m先の小さな的(まと)に軟式ボール1球だけ投げて当ててくださいと言われたら大変難しいと思います。それがもし2球与えられたら、もし3球与えられたら、可能性は上がっていくはずです。そういったことがハモりでは起こるような気がしています。

 

ハモりの作り方ですが、一番最初に出した協和関係の図を使えば簡単に作ることができます。ハモりは3度ハモリ、6度ハモリ、4度ハモリ、5度ハモリがあります。4度と5度の場合、協和しすぎるので、ハモリというよりも、オクターブで歌っているような音のひっつき方をします。いい具合で協和する(ハーモニーが作れる)3度ハモりか6度ハモリがおすすめです。この2つが一般的ですね。

 

歌物の場合は歌える音域が限られますので、3度上もしくは下ハモりが多いです。作り方は主旋律を3度でハモらせていくだけです。スケールに合わせて長、短決めていきます。稀にハモりがロングトーンでアボイドすることがあります。そのまま使ってもよいのですが、気になる場合は長2度や完全4度や完全5度で一旦逃げるとよいです。

 

ハモりは主旋律と比べて音量が小さいので、アボイドしてもそんなに気にならないです。短いトーンのアボイドノートは無視していきましょう。以下のメロディはただ単にコードトーンを弾いただけのメロディですが、これを3度上と下でハモらせてみました。メロディは1オクターブ上げています。

 

 

対位法について

ハーモニーを作るのに対位法という手法が用いられることもあります。ただこれは、POPSで使われることは殆どなく、主にクラシックで使われる手法です。2つ以上のメロディをそれぞれが対等に独立性を持つようにする手法です。

 

イメージしづらいと思いますが、主旋律とは対立するような動きで尚且つ協和する関係でもう一つメロディを作っていきます。ハモりに少し似ているのですが、ハモリは基本的に主旋律とリズムも音程の動きも同じでした。対位法の場合は、主旋律がロングトーンの時には、短いリズムで連打で鳴らして、主旋律が順次進行の時には、跳躍させたり、音程が上がっているときには、下げたり、といった逆行の動きをさせます。

 

  • ロングトーンと短いトーンの連打
  • 上行と下行
  • 順次進行と跳躍進行

場を埋めるという表現が正しいのかわかりませんが、主旋律で足りない要素を対位法で埋めていく感じです。協和関係については、基本は3度か6度を用います。それ以外にも1度、4度、5度、8度も協和するので用いてもOKです。2度や7度は協和しないので、弱拍など目立たない所で使用します。

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