リバーブの使い方

リバーブの基礎と6つのパラメーター

リバーブの使い方

 

リバーブはそれぞれプラグインによって使われているパラーメーターがバラバラです。独自の規格が採用されていることもあります。自分が使うリバーブはその使い方を調べる必要があります。

 

大まかにですが、リバーブのパラーメーターは以下の通りです。

  • プリディレイ…原音がリバーブに入力されてから実際にリバーブの響きが始まるまでの時間。初期反射をどのくらい遅らせるか
  • リバーブタイム(=ディケイ)…リバーブの響きの基本的な長さ
  • ローダンプとハイダンプ…低域と高域のリバーブの長さを決めます。%で示され、例えばローダンプを200%にすれば暗い響きとなり、ハイダンプを200%にすれば明るい響きとなります。
  • ディフュージョン…壁からの反射音の密度を調整します。高いと密度が増した硬い響きになり、低いと密度が薄いクリアな音になります
  • ステレオワイズ(パン)…ステレオ幅を0%(モノラル)から100%(ステレオ)まで変更できます。
  • ローカットとハイカット…特定の帯域をカットすることができます。

最も大事なパラメーターはリバーブタイムです。ディケイタイムと書かれていることもあります。これでどういった空間を作るか決めます。大体以下の通りです。

 

  • 0.75s以下…小さめの部屋(チェンバー、ルーム)
  • 0.8〜2s…大きめの部屋
  • 1.5〜3s…小ホール
  • 2〜4s…大ホール、大きな協会
  • 5s〜…特殊効果

リバーブタイムで大体どのくらいの大きさの空間なのか決定したら、次はローダンプとハイダンプで空間の明るさを調節します。

 

ローダンプを130%など高くすれば暗い重たい響きが加わりますし、ハイダンプが120%にすればやや明るい響きが加わります。低域と高域のリバーブの長さを%で調節します。

 

ディフュージョンで壁からの反射音の密度を調節します。高いと硬い音になりますし、数値が低いと柔らかい音になります。プリディレイで初期反射の調節できます。短いとすぐに反射音が返ってくるので近場できいている印象になり、遅いと遠くから聞いている印象になります。

 

ステレオワイズでステレオ幅を調節したら完了です。モノラル音源は中央が強く鳴りますから、リバーブでステレオ幅を広げた音を足してステレオ感を出すという使い方ができます。

 

リバーブにはEQ機能がついています。全ての帯域から満遍なくリバーブを鳴らすと、場合によってはくどく感じることがあります。ローカットかハイカット、どちらかでも入れるとすっきりとした印象になります。

 

ベースやキックをリバーブに入れた場合は、それらをカットするためにローカットを入れることがあります。低域が濁るのが嫌な場合も100Hzあたりからローカットを入れるとよいです。ボーカルの歯擦音が気になる場合はハイカットを入れてもよいです。

 

リバーブタイムで空間の大きさを決めて、ダンプで明るい場所なのか暗い場所なのか決めて、プリディレイで近くからきくか遠くから聞くか調節して、という感じでサクサクと大まかに決めていけばよいです。

 

リバーブをかける量ですが、これは直感的に決めてもらって構いません。薄くかけても良いですし深めにかけても良いです。実際に耳で聞きながら好みの量にします。あまりにもかけすぎて風呂場みたいな響きになったらダメですが、そうならない限りは大丈夫です。リバーブやディレイなどの空間系エフェクトは好みの要素が大きいので。

 

リバーブとディレイの違いについて

リバーブは空間を細かく設定して、その響きをシミュレートして反響させます。

 

ディレイは原音を遅らせて鳴らすということになります。やまびこ効果ですね。山に向かって大声を出すと、山から反射して、そのまま自分の声が何秒か後に返ってきます。これと同じでディレイタイムで設定した数値分遅れて原音が発せられます。

 

それぞれのプラグインによって使い方が違う

リバーブの使い方
例えばprotools付属のD-Verbですが、一番大きなつまみがディケイ(リバーブタイム)です。ここでどういった空間を作るか決めます。プリディレイは初期反射音をどのくらい遅らせるか決めます。

 

ディフュージョンで壁の反射音の調節ができます。ローカットとハイカットもついています。ローダンプやハイダンプ、ステレオ幅の調節はできません。

 

DAW付属だと最低限のつまみだけでリバーブを調節することになります。もし、もっと細かくリバーブをかけたい場合はサードパーティを用意する必要があります。以下のはFabfilter Pro-Rです。

 

リバーブの使い方

 

SPACEがリバーブタイムのことでここで大まかに空間の大きさを決められます。

 

左上のBRIGHTNESSはディフュージョンで反射音の硬さ柔らかさを決められます。

 

DISTANCEがプリディレイのことです。一番下の黄色い線のカーブはただのEQですが、上の青い線のカーブはダンプです。%表示されているのがわかると思います。ここで低域や高域を上げたり下げたりして空間の明るさ暗さを調節します。

 

ステレオワイズもついているのでステレオ幅の調節も可能です。上の項目にプリセットがついています。例えばルームとかホールとかチェンバーとかライブとか。そこから選べば簡単なのですが、パラーメーターを知っておけば、プリセットを選んだあとに微調整が自分で行えるので、より細かな設定が可能となります。

 

リバーブのインサート方法について

リバーブは直接トラックにインサートする方法と、AUXトラックを別で立ち上げて、そこにセンドリターンで送るやり方があります。

 

直接インサートする場合は、ドライウェットのつまみでどのくらいリバーブを混ぜるのか調節します。1つ1つにインサートする(リバーブをかけないトラックを作るのもOK)ので、それぞれ異なった響きを感じられます。

 

センドリターンで送る場合は複数のトラックを1つのリバーブにまとめるわけですから、響きにまとまりが感じられます。楽曲に合った方を選んだり、どういった音作りをしたいか方向性でどちらか選びます。

 

センドリターンを使う

AUXトラックを立ち上げて、そこにセンドリターンで原音を送って、送り量(バスのフェーダー)を決めて、そのトラックでリバーブを立ち上げて音作りします。最終的にどのくらい混ぜるのか送り量で微調整します。

 

リバーブをセンドリターンを使う

 

使い方は、例えばボーカルとバッキングとドラムをセンドリターンで送って、それらを一つのリバーブトラックで音作りします。キックが含まれるので軽くリバーブにローカットを入れておきます。全体で一つのリバーブの設定を共有するのでまとまり感が出ます。

 

キックとベースにはリバーブは原則かけません。低音楽器にリバーブをかけると低域の響きがくどくなり、濁り、リズムがハッキリとしません。そもそもセンドリターンでこの2つは送らないか、もしまとめて送る場合はリバーブにローカットをかけます。

 

リバーブはどんな時にかける?

素材にはアンビ成分が殆ど含まれていません。響きを足したい時にはリバーブをかけていくとよいです。かけることで響きを豊かにできます。

 

直接インサートする時のテクニックの1つとして、「ドライ/ウェットつまみ」にオートメーションをかけて変動させるというやり方があります。cubaseの場合だと、リバーブのドライウェットつまみを左クリックするとオートメーションがかけます。私はウェット5%を起点として、オートメーションをかいています。時には9%になってリバーブ成分が増えたり、時には3%になったりするのです。ウェットつまみを楽曲の流れに合わせて変動させることで、飽きさせない音作りができます。

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