ローカットの入れ方について
ローカットを入れる周波数ですが、主に90Hzからと150Hzからの2つがあると思います。周波数の特性として、110〜330Hzがベース音(基音)になります。440~830Hzが一番人の耳に届く帯域です。
ローカットを入れた場合、例えば90Hzの周波数を指定したら、実際はもっと後ろから(110Hz辺りから)カットが始まります。90Hzでローカットを入れた場合、ベース音の周波数はタッチされず、それよりも下の超低域だけがカットされます。150Hzでローカットを入れた場合、超低域だけでなく、ベース音も緩やかに減衰されます。低域も減衰されるカットの仕方です。
90Hzか150Hzどちらか選んでローカットを入れるケースが多いと思います。150Hzよりも上からローカットを入れると聞かせ所である440Hz周辺に届いてしまうので注意が必要です。
ローカットは必要?ローカットを入れる3つのコツ
これはそれぞれ状況によって対応が全く異なるので一概に言えません。基本バンド構成(ドラム、ベース、ギター、ボーカル)の場合、キックとベースは低域を担うのでローカットを入れるケースは殆どないと思います。ウワモノはそもそも低域が殆ど含まれていないので問題になりません。
問題はバッキングとボーカルです。これらは音程を奏でる中音域を担うパートです。一番聞かせたいのはその帯域で、超低域をカットすることで、中音域が際立つのは事実です。ただ、超低域が必要のない帯域かといわれるとそうではありません。リズムを感じるのに必要です。
例えばスロープを急斜にしてローカットを入れた場合、超低域が完全になくなって、リズムが感じられないパートになります。バンドはドラム、ベース、バッキング、ボーカルそれぞれが1つのグルーヴとなっているのですが、ローカットを入れるとキックとベースのリズムしか感じられない面白味のない音源になってしまいます。
20Hz〜50Hzの低周波は人の副交感神経を優位にするといわれています。
解決策としては、@そもそも不要なケースでは使わない、Aローカットのスロープをなだらかにする、Bローカットの代わりにローシェルビングを使うなどがあります。例え話が適切かは分かりませんが、前髪を切る時に普通のハサミで真横から入れてバッサリ切ることはしないはずです。それをするとぱっつんぱっつんになるからです。スキバサミを縦に入れていいニュアンスになるように慎重に切ります。
ローカットのスロープが急
ローカットも、急斜なスロープでバッサリと切ってしまうのではなく、ゆるやかなスロープに変えてみたり、シェルビングを使ってみたりして、超低域のニュアンスをうっすらと残すようにします。EQの製品によってそれぞれフィルターのかかり方が全然違います。個々で試してみる必要があります。
例えばディレイの場合は必要なのは中音域だけなのでバッサリカットして構わないのですが、原音はできるだけ超低域のニュアンスを残すようにします。
ローカットの代わりにディエッサーを使って処理する
低域の暴れをディッサーで処理する方法もあります。肝なのはマルチバンドコンプではなくディエッサーを使うという点です。マルチバンドコンプでも周波数を指定してコンプをかけられますが、あくまでコンプレッションされるだけで、音の痛い部分を取り除いてはくれません。
ディッサーは痛い箇所を処理してくれます。そもそもですが、全体域に対応しているディッサーでないとできません。
周波数を20〜110Hzに指定してそこにディエッサーをかけると低域の暴れとそこの痛い部分を綺麗に取り除いてくれます。下処理として最適です。