- protools付属の純正プラグイン(全てのプランで使用可能)
- 上位プランに入っているエフェクトプラグイン
- Pro Compressor(デジタルコンプ)
- Pro Multiband Dynamics(マルチバンドコンプ)
- Pro Limiter(リミッター)
- Reverb One(デジタルリバーブ)
- SPACE(IRリバーブ)
- BF-2A(LA-2Aのシミュレート)
- BF-3A(LA-3Aのシミュレート)
- 304C(オプトコンプ)
- Focusrite d3(アナログコンプ)
- MC77(1176系のFETコンプレッサー)
- IMPACT(バスコンプ)
- F660、F670(Fairchild 660のシミュレート)
- smack!(アナログコンプ)
- REEL TAPE SATURATION(テープサチュレーター)
- REEL TAPE DELAY(アナログディレイ)
- REEL TAPE FLANGER(フランジャー)
- 304E(アナログEQ)
- Focusrite d2(アナログEQ)
- Pultec EQP-1A(アナログEQ)
- Pultec MEQ-5
プロツールス付属プラグインについて
プロツールス付属のプラグインをできる解説していきます。大きく、無料版で使えるプラグインと有料版で使えるプラグインの2つに分けています。まずは無料版で使えるプラグインから順に解説していきます。
protools付属の純正プラグイン(全てのプランで使用可能)
EQ III 7-Band(デジタルEQ)
一般的なデジタルEQです。7バンドまで使用可能です。上のHPFとLPFがフィルターです。ローカットかハイカットを選択してINを押すとフィルターとして利用できます。
Qをいじることでなだらかにカットしたり、急斜でカットしたりできます。下の5つはシェルフかピーキングで利用できます。FREQで周波数を指定して、Qでピークの幅を狭めたり広くしたりして、GAINでブースト又はカットすることができます。ちなみにEQ III 1-Bandも付属されているのですが、こちらは1バンドのデジタルEQとなります。
Dynamics III Compressor/Limiter(デジタルコンプレッサー)
一般的なデジタルコンプレッサーです。名称にリミッターとついていますが、コンプレッサーです。
アタックで音を潰すタイミングを決めて、リリースでスレッショルド値を下回った音をどのくらい伸ばすのか決めます。レシオで圧縮率を決めます。
KNEEでは、スレッショルドの圧縮する基準を曖昧にすることができます。KNEEの数値を上げていけばいくほど、スレッショルド値よりも前にコンプレッサーがかかる仕様になります。少し数値を上げた方が、デジタルコンプの直線的な挙動をなくすことができます。
スレッショルド値を下げていけば、コンプレッサーが作動して、音が潰れます。どのくらい潰れたのかはGRでリアルタイムでメーターで表示されます。このコンプを使う時の注意点としてはGR(ゲインリダクション)の反応があまりよろしくない点です。-1〜-2dBくらいの瞬間的な音はメーターが反応しません。反応しないだけで、実際はコンプがかかっています。なので、メーターで確認するよりは耳で確認しながら音作りをしていくようにします。右上の項目でサイドチェインとしても使えます。
BF-76(Urei1176のシミュレーションプラグイン)
Urei1176をシミュレートしたアナログコンプとなります。アタックとリリースは時計回り(右に回す)で最速になります。7が最速で1が一番遅いです。
最短から始めて徐々に遅くしていって、アタックで音を潰すタイミング、リリースで音をどのくらい伸ばすか、ベストなポイントにします。スレッショルドは固定で、インプットの音量でGRを調節します。
真ん中のメーターがVUメーターで、何dB圧縮されたかVUメーターで表示されます。それを調節したら、最後にアウトプットでインサートする前とで音調差が出ないように補正します。レシオは4が4:1、8が8:1となっています。20が20:1ですね。
Lo-Fi(汚し系)
これはいわゆる汚し系プラグインです。デフォルトの設定のままでは音は汚れませんが、SAMPLESIZEとSAMPLERATEの数値を下げていけばいくほど音質は劣化します。なぜあえて音質を下げる必要があるのかですが、アナログレコーダーで聞いているような、ビンテージ感を演出するのが目的です。
上の項目(LO-FI)よりも下のサチュレーションで使うことの方が多いように思います。サチュレーションのつまみをひねるとアナログな歪みを加えることができます。
左のディストーションも歪むことには変わりないのですが、より強力に歪みます。真ん中のNOISEをひねるとノイズを加えることができます。面白味に欠ける時はこのプラグインで歪ませて音を華やかにするのもよいです。注意点としてはメイクアップゲインがついていないので、サチュレーションで音量を上げたら、上げっぱなしとなります。音量の補正ができません。
Mod Delay III(デジタルディレイ)
デジタルディレイとなります。ステレオ仕様(LとRとで分かれている)で、LとR別々の設定が可能です。ステレオ仕様のメリットとしては、LとRとで少しだけ設定を変える(例えばディレイタイムをL80R85)ことでステレオ感を演出することができます。LINKを押すとLとRとで同じ設定になります。ステレオ設定をしない場合はLINKを押すようにします。
一番大きなつまみがディレイタイムです。数値を入力したり(ms)、1/4や1/8などのリズムから決めることもできます。下に音符の記号がありますが、その中から選ぶとリズムからディレイタイムを決めることができます。FBKがフィードバックです。
モジュレーションをかける場合はRATE(速さ)とDEPTH(大きさ)で揺れを調節します。MIXで原音に対してディレイをインサートした音をどのくらい混ぜるか決められます。センドリターンで使う場合は100%にします。
注意点としては、このプラグインにはハイカットは付いていますが(LPF)、ローカットは付いていません。ハイカットも大事ですが、ディレイではローカットは必須です。下の段にEQをインサートして、そのEQでローカットをかける必要があります。
D-Verb(デジタルリバーブ)
簡易的なリバーブプラグインです。ホール、チャーチ(協会)、ルーム、アンビエントなどプリセットが用意されていて、それを選んで、大きさを3種類(スモール、ミディアム、ラージ)の中から選べば利用できます。
自分で設定する場合は、DECAYがリバーブタイムですので、これでどのくらいの大きさの空間にするのか決めて、PRE-DELAY(プリディレイ)で響きがはじまるまでの時間を指定します。DIFFUSION(ディフュージョン)は反射音の密度で、100%にしたら硬い音、0%にしたら密度のない柔らかい音になります。センドリターンで使う場合はMIX100%にします。
HF CUTはHigh Frequency Cutの略で、高音域をカットすることができます。LP FILTERはハイカットのことで、高音域の周波数を指定してそれ以上をカットすることができます。この2つのパラメーターは近い性質を持っています。リバーブは全帯域を鳴らすとくどい質感となることがあります。高域を適度にカットすることでそれを防ぐことができます。
Dynamics III Expander/Gate(エキスパンダー、ゲート)
エキスパンダー(ゲート)です。コンプレッサーがスレッショルド値を上回る音に対してアクションするのに対して、エキスパンダーはスレッショルド値を下回った音に対してアクションします。昔はノイズ処理で積極的に使われていましたが、近年その必要がないため出番はあまりありません。
まずスレッショルド値を調節して「ここから下の音を切る」というラインを決めます。RANGEで圧縮する音の限度を決めます。例えば「-5dB」にしたらそれを限度に圧縮されます。アタックはラインを超えてから何ms後に圧縮させるか、リリースはどのくらい音を伸ばすのかです。レシオでどのくらい圧縮するか決めます。
Pitch II(ダブリング)
センドリターンでインサートしてピッチをズラすことでダブリング効果(音に厚みを出す)が期待できます。使い方はFINEという項目で何cents(1セントは100分の1半音)ピッチをずらすか決めます。ダブリングとして使うときは3〜12sentsくらいになるかと思います。
LINKを押すとLとRとで同じ設定にできます。MIXですが、センドリターンで使う場合は100%にします。
ディレイもできます。DELAYの項目で何ms原音に対して遅らせるか決めて、FEEDBACKでディレイ音を何回繰り返してから消すか決めます。ディレイタイム30〜50ms、フィードバック0%〜10%のショートディレイをダブリングさせるというような使い方ができます。ローカットはついていません。
ディレイで使う時でローカットさせたい場合は下の段にEQをインサートしてそれでローカットする必要があります。ハイカット(LPF)は付いています。
Maxim(リミッター)
リミッターとなります。トラック単体で使うことも稀にあると思いますが、多くはマスタートラックで仕上げとして使われます。スレッショルドを上げていくと音が大きくなります。
ATTENUATIONがゲインリダクションのことで、ここでリアルタイムで何dB圧縮されたのか表示されます。大体-5dB以内にするのが多いと思います。CELINGがアウトシーリングのことです。-0.3dBにしておきます。
注意点として、リリースがデフォルトで1msになっています。リミッターでリリース1msというのはまずあり得ないので(音が平坦になるため)、最速でも200msにします。300msくらいが標準的だと思います。
上位プランに入っているエフェクトプラグイン
年間サブスクの上位プラン(Pro Tools Studio以降)にはProシリーズと有名なアナログモデリング(名機)が含まれます。前の項目で説明したデジタルコンプ、リバーブ、リミッターには上位版があります。それがProシリーズですが、
使い方は大部分同じなのですが、挙動がより安定していてかかりがよく、扱えるパラメーターが増えます。完全プロ仕様となります。それぞれ解説していきます。
Pro Compressor(デジタルコンプ)
使い方は「Dynamics III Compressor/Limiter」とほぼ同じです。違う点は画面の右上にゲインリダクションが出るのですが、それがリアルタイムで遅延なく表示されることです。使いやすいです。下の画面でフィルターやEQ機能がついているのですが、電源マークを押すとOFFにできます。
Pro Multiband Dynamics(マルチバンドコンプ)
周波数を指定してその範囲だけをコンプレッサーかけられます。4つまで設定が可能です。三角マークでどこからどこまでをコンプレッサーかけるのか周波数の範囲を指定します。
DEPTHで音量を下げる(上げる)限界値を決めます。例えば-3dBと指定すれば、それを限度として音量が下がります。ちなみに+の方向にひねると音量を上げることもできます。3dBと指定するとそれを限度値として音量が上がります。
スレッショルドを深めていけば、スレッショルド値を超えた音がコンプレッションされてDEPTHを限度値として音量が下がります。GAINは指定した周波数の音量そのものを上げ下げします。スルーでよいです。
SLOPEはレシオのことです。%で示されて、例えば100%にしたら強い圧縮となります。アタックとリリースはコンプで使う規格と同じです。AUTOを押すと、SLOPEとアタックとリリースが自動となります。
Pro Limiter(リミッター)
Maximの上位版です。使い方はほぼ同じですが、違う点は右上に「AUTO RELEASE」ボタンがついており、これを押すとリリースが自動化されます。いい感じになってくれます。自分でリリースを調節する場合はこれを切って調節します。
左上のメーターでゲインリダクションが確認できます(赤く-3.2と表示されている部分)。CHARACTERを調節すると音の特徴が変化します。ラウドネスの確認もできます。INTEGRATEDが楽曲を再生して蓄算されたトータルのLUFSです。SHORT TERMは短い時間でのLUFSです。
Reverb One(デジタルリバーブ)
D-Verbの上位版となります。TIMEはリバーブタイムのことで響きの長さを決めます。1.2sでルーム、3sでホールくらいの大きさです。多くはリバーブタイムだけで空間のシミュレートをするのですが、このプラグインにはSIZEの項目もあります。サイズで部屋のシミュレートをします。響きの長さには影響はしませんが、音の広がりや密度が変化します。TIMEとSIZEで大まかに空間をシミュレートしていきます。
LEVELでディレイの音量を下げることができます。DIFFUSIONで反射音の音の密度を決めます。%を高めていくほど密度が上がって硬い音になります。SPREADで音の広がりや奥行きを調節できます。PRE-DELAYは音が反射するまでの時間を設定できます。短いと反射音がすぐに到達するので近くで聞いている感覚になり、長いとなかなか反射音が来ないので遠くから聞いている感覚になります。
ATTACKとDECAY RAITOとTHRESHOLDですが、これでコンプレッサーのような使い方ができます。DECAY RAITOがレシオのことで圧縮する比率を決めます。スレッショルドを下げていけばコンプレッサーがかかってディレイ音が圧縮されます。アタックで音を潰すタイミングを決めます。ディレイでコンプレッサー機能がついているものはなかなかありませんが、このディレイでは一応そういった使い方ができます。
EARLY REFLECTIONS(アーリーリフレクション)は壁に一度だけ反射してくる音のことです。まず直接音(原音)が聞こえて、少し遅れてアーリーリフレクション(初期反射)が聞こえ、最後にリバーブ本体の音が聞こえます。初期反射を設定することでよりリアルな空間の響きに聞こえます。
設定したい場合は「ON」を押して、RoomやClubやStageなどアルゴリズムが用意されているのでそれらから選びます。LEVELでリバーブ本体の音より何dB下げた音にするか決めます。
CHORUSは文字通りコーラスでピッチを揺らすことができます。DEPTH(揺れの大きさ)とRATE(揺れの速さ)を調節します(リバーブでコーラスを使うことはほとんどないですが)。STEREO WIDTHでステレオの幅の調節が可能です。
一番下のアナライザーの画面ですが、上のボタンを押すとEQ機能となります。ローカットやハイカットが使えます。真ん中のはクロスオーバーとハイダンプです。クロスオーバーでトーンの調節が可能です。ロークロスオーバーを上げると低域が出るようになったり、ハイクロスオーバーを上げると高域が出るようになったりします。この2つとは別にハイダンプが用意されています。これは高域を何回繰り返してから切るかという、音の長さを調節できます。EQやクロスオーバーやダンプは似たパラメーターにはなります。
SPACE(IRリバーブ)
IRリバーブ(実際の会場の響きの特性を収録し、それをそのままエフェクトで適用することで、リアルな響きを実現)です。かなりリアルな響きを加えることができます。
使い方は右の項目で種類を選びます。ホール、チャーチ(協会)、ルーム、チェンバー(残響室でスピーカーで原音を鳴らしてその響きを収録)、プレート(鉄板を振動させて響きを作り出す)、スプリングス式(ギターアンプで用いられるリバーブ)、デジタルリバーブ、ポストプロダクション(何気ない生活空間)、tiny space(バケツの中など小さな空間)など何でもあります。プリセットから選んだら後はDRYとWETつまみを調節するだけです。
DRYが原音で、WETはプリセットの響きが付加された音です。センドリターンで使う場合はDRYを完全に切ってWETの音だけを使います。トラック単体にインサートした場合は原音(DRY)とリバーブ(WET)を混ぜて音作りします。DECAYはリバーブの長さを変更できます。ただし元が自然な響きになっているのでいじる必要はありません。
BF-2A(LA-2Aのシミュレート)
Teletronix LA-2Aのシミュレーションプラグイン(コンプレッサー)です。アタックとリリースは光学式によって自動化されておりパラメーターはありません。レシオも固定なのでありません。
扱うパラメーターは2つだけです。GAINでプラグインに突っ込む音量を決めます。PEAK REDUCTIONがスレッショルドの役割で、ここで数値を下げていけばコンプレッサーが作動します。真ん中のVUメーターがゲインリダクションです。ここでどのくらい圧縮するか決めます。
BF-3A(LA-3Aのシミュレート)
Teletronix LA-3のシミュレートプラグインです。こちらもオプトコンプですが、BF-2Aとの違いは、BF-2Aには真空管アンプが含まれており、ふっくらとした質感が加わります。BF-3Aは純粋に光学式によるコンプレッサーです。
使い方はPEAK REDUCTION(=スレッショルド)を調節してコンプレッサーが作動するようにします。それを調節したら最後にアウトプットゲインで出力を決めます。バイパスと比較してインサートする前と音量が変化しないように補正します。右下にCOMPとLIMITがあるのですが、コンプのほうを選びます。
304C(オプトコンプ)
こちらもオプティカルコンプとなります。独自規格になっているのですが、Compressionと表示しているのがスレッショルドです。Slopeと表示してあるのがレシオです。
レシオは1〜5と予め用意された中から選び、スレッショルドを深めるとコンプレッサーがかかります。アタックとリリースの調節もできます。より細かな設定ができるオプトコンプとなります。最後にアウトプットでインサート前と音量が変化しないように調節します。
Focusrite d3(アナログコンプ)
フォーカルライトのRed Range ハードウェアをシミュレートしたコンプレッサーです。使い方は一般的なコンプと同じです。アタックリリーススレッショルドレシオで調節します。フォーカスライトのTransformerサチュレーターのシルキーな音が再現されています。
MC77(1176系のFETコンプレッサー)
大変貴重な1176系のFETコンプレッサーです。使い方は前で解説したBF-76と同じです。
IMPACT(バスコンプ)
音を聞いたりパラメーターを見る限りおそらくSSLバスコンプのモデリングだと思われます。トラック単体はもちろん、バストラックでも使用できます。挙動がゆるやかで接着剤的な役割となります。使い方は一般的なコンプと同じです。
F660、F670(Fairchild 660のシミュレート)
真空管コンプレッサーFairchild 660のシミュレートプラグインです。インプットでどのくらいの音量を入れるか決めます。スレッショルドを調節するとコンプレッサーが作動します。左のVUメーターでゲインリダクションの確認ができます。
アタックとリリースについてはTIME CONSTANTで調節します。例えば1だったらアタック30msリリース100msみたいに、1から8まで予めアタックとリリースが設定されたものが出力されます。公式でそれぞれどのような設定がされているかはアナウンスされていません。
1〜8まで変えてみて、耳で聞きながらしっくりくるものを選びます。アナログコンプですので、瞬間瞬間の勝負といいますが、細かなことは気にしないで耳で確認しながら直感で決めていくとよいです。F670も用意されていますが、こちらはLとRとで別々の設定ができるようになっています。
smack!(アナログコンプ)
Avidオリジナルの多機能アナログコンプレッサーです。スレッショルド値は固定です。インプット量を調節してコンプレッサーがかかるようにします。VUメーターでGRを確認します。
アタックリリースレシオを調節して最後にアウトプットでインサート前との音量差が出ないようにメイクアップします。
3 つの圧縮モード(ノーマル、WARM、オプト)が用意されていて合ったものを選べます。WARMが暖かいビンテージな音で、オプトが光学式の柔らかい質感です。右上にはディストーションノズルが3種類用意されており、アナログな歪みを加えることもできます。
REEL TAPE SATURATION(テープサチュレーター)
テープマシーンをモデルとしたプラグインです。MACINEでテープマシーンの種類を3つの中から選べます。
DRIVEノズルを上げていくとマシーンの中に音が入っていき、音が歪んでいきます。アナログ機器は0に近づくほど歪んでいく性質があり、それがVUメーターで確認できます。VUメーターで確認しながらナチュラルに仕上げるのか、オーバードライブさせるのか決めます。
FORMULA(形式)は2つ選べます。Classicはビンテージの質感になり、Hi-outputは高音質になります。SPEEDはテープスピードを調節できます。スピードが上がれば上がるほど高域が強調されます。NOISEでアナログのノイズを付加できます。BIABで磁気テープの歪み具合を調節できます。OUTPUTはメイクアップゲインのことです。
REEL TAPE DELAY(アナログディレイ)
ディレイにテープサチュレーションをかけることができます。
まずはディレイの設定をします。DELAYはディレイタイムのことで何ms原音に対して遅らせるか決めます。左のBPM SYNCをONにして音符の種類を選ぶとリズムからディレイタイムを決めることもできます。
FEEDBACK(フィードバック)でディレイ音を何回繰り返して消すか決めます。BASSは低域を減衰又はブーストできます。ローカットとして使いたいはずですのでここで減衰させます。TREBLEは高域をカットまたはブーストできます。
ディレイの設定が済んだらドライブで突っ込んでどれくらい歪ませるか決めます。MACHINEでサチュレーションの種類を選べます。センドリターンで使うときはMIXは100%にします。
REEL TAPE FLANGER(フランジャー)
これはモジュレーション+サチュレーションです。RATEで揺れの速さを、DEPTHで揺れの大きさを、それぞれ調節して、変調を起こし、音程を揺れさせます。ビブラートのようなイメージです。BPM SYNCからテンポに合わせて変調させることもできます。
フランジャーですので、デフォルトで数mSec程度の超ショートディレイがかかっています。FEEDBACKノズルで残音の調節をします。
モジュレーションの設定が済んだら、あとはテープサチュレーターをかけて歪みも加えます。最後にMIXで原音に対してどのくらい混ぜるのか決めて終了です。ショートディレイにモジュレーションがかかってさらにアナログサチュレーションも追加されているという、複雑な音になります。ボーカルやバッキングなど音に厚みを出したいときに有効です。
304E(アナログEQ)
アナログEQですので、インサートしただけで音が変化したりブースト又はカットした箇所の倍音が変化したりします。
Bass(低域)のFrequencyは固定(アナライザーで調べたら60Hz辺りでした)されています。ノズルを−又は+にひねることでカットしたりブーストしたりします。Treble(高域)の周波数も固定で(11k周辺)ノズルをひねることで調節します。Mid(中音域)は周波数を選ぶことができます。
Focusrite d2(アナログEQ)
フォーカスライトをモデリングしたEQです。インサートするだけでもフォーカスライトの特有のシルキーさが出てくれます。20Hzと18kHzにフィルターがついています。4バンド構成になっており、それぞれ周波数を指定してピーキングが可能です。EQカーブが画面に表示されるのでわかりやすいです。
Pultec EQP-1A(アナログEQ)
Pultec EQP-1Aのシミュレートプラグインです。インサートしただけで真空管とトランスフォーマーによって質感が加わります。さらにEQをブーストしたりカットすることで質感や倍音が付加されます。言い回しが独自になっているのがわかりづらいのですが、以下の通りです。ATTENがカットのことです。
一番左のゾーンが低域です。GPSで20Hz,30Hz,60Hz,100Hzの中から周波数を指定します。低域はブーストとカットが同時にできるようになっており、それをするとブーストしたすぐ上の帯域がカットされるアルゴリズムとなっています。低域で隣り合わせの帯域をゆるやかにカットすることですっきりとした質感になります。理にかなったEQカーブが描かれることになります。
中音域は、KCSで3kHz,4kHz,5kHz…の中から周波数を指定してブーストしたい場合はブーストをします。BANDWIDHTはQのことで、これでピーキングの幅を調節できます。
高域も5kHz,10kHz,20kHzの中から指定してATTENでカットする場合はカットします。
PultecシリーズにはEQP-1A以外にもEQH-2とMEQ-5が用意されていますが、使い方は同じです。言い回しさえ覚えれば、周波数を指定してブーストかカット(又はそれを同時に行う)するだけなので、簡単です。アナログEQは積極的な音作りをしたいときにインサートするとよいです。ギターやピアノに使うことが多いです。
Pultec MEQ-5
PEAKがブースト、DIPがカットです。バンドは3つあり、それぞれ周波数を選ぶことができます。